データで見る防犯カメラの有用性|犯罪統計と抑止効果の研究から

防犯カメラ

「防犯カメラを付けると本当に効果があるのか」——導入を検討するとき、多くの方が抱く疑問です。ここでは、印象論ではなく公的な統計と研究データをもとに、防犯カメラの有用性と、その限界を客観的に整理します。

防犯カメラの効果は、大きく「犯罪を未然に防ぐ抑止効果」と「発生後の捜査・解決に役立つ効果」の2つに分けられます。データ上も、犯罪が起こりやすい場所に適切に設置された街頭防犯カメラには、犯罪抑止の効果が確認されています。

データ①:刑法犯認知件数はピークから大きく減少した

警察庁の統計によると、刑法犯の認知件数(警察が把握した犯罪の件数)は、2002年(平成14年)の約285万件をピークに減少を続け、2021年(令和3年)には約57万件と戦後最少を記録しました。ピーク時のおよそ5分の1の水準です。

刑法犯認知件数の推移(万件) 0 100 200 300 2002 2015 2020 2024 ピーク 約285万件 戦後最少 約57万件(2021) 再増加
出典:警察庁「犯罪情勢」各年より作成(万件、四捨五入)。2002年 約285万件/2015年 約110万件/2020年 約61万件/2021年 約57万件/2023年 約70万件/2024年 約74万件。

この大幅な減少の背景には、地域の防犯活動、警察の取り組み、社会環境の変化など、さまざまな要因があります。そして同じ時期に社会全体へ広がったのが、防犯カメラです。

データ②:この間に防犯カメラは社会に広く普及した

防犯カメラは、街頭・商業施設・住宅まで幅広く設置が進みました。市場規模から見ても普及の勢いは明らかで、矢野経済研究所の調査によると、2023年度の国内の監視カメラ/システム市場は前年度比110.9%の約1,999億円に達しています。街頭防犯カメラの設置拡大や、クラウド型の登場による導入ハードルの低下が、普及を後押ししています。

注意:犯罪の減少は防犯カメラ「だけ」の効果ではありません。犯罪件数の増減は、景気・人口・警察活動・地域の防犯活動など多くの要因が影響します。「カメラが普及した時期に犯罪が減った」という関係(相関)は、そのまま「カメラが犯罪を減らした」という因果を証明するものではありません。より確かな効果は、次の個別研究で確認されています。

データ③:研究でも「適切な設置」の抑止効果が確認されている

個々の場所に着目した研究では、防犯カメラの抑止効果が示されています。筑波大学の雨宮護 准教授らが行った街頭防犯カメラの効果検証(福岡県警が公表した資料)では、犯罪が実際に起こる、あるいは起こりやすい場所に設置された場合に、犯罪の発生を抑える効果が確認されたと報告されています。

一般に、防犯カメラは窃盗(自転車盗・車上ねらいなど)や駐車場での犯罪に対して、比較的高い抑止効果が期待できるとされています。ポイントは「数を増やすこと」よりも「被害が起きやすい場所に的確に置くこと」です。

データ④:発生後の「捜査・解決」にも役立つ

防犯カメラは、事件が起きてしまった後にも力を発揮します。撮影された映像は、犯人の特定や事件の解決に向けた重要な手がかりとなり、被害の相談や警察への提供を通じて、事件の早期解決につながるケースが数多く報告されています。抑止と捜査の両面で役立つ点が、防犯カメラの大きな価値です。

近年は犯罪が再び増加。対策の重要性はむしろ高まっている

刑法犯認知件数は2021年を底に反転し、2022年から3年連続で増加、2024年(令和6年)には約74万件となりました。SNSを通じた「闇バイト」による強盗など、新しい形の犯罪も社会問題になっています。犯罪が減り続けた時代から、再び増加へと局面が変わったいま、家庭・地域・店舗それぞれで備えを見直す意義は大きくなっています。

効果を引き出す設置のポイント

ポイント 理由
被害が起きやすい場所に置く 研究上、抑止効果が確認されているのは適切な場所への設置
「作動中」を掲示する 撮影を知らせること自体が抑止につながる
人物・ナンバーが判別できる画質 捜査・解決に役立てるために必要
死角をつくらない配置 侵入経路や逃走経路を押さえる
継続して稼働・保守する 故障して止まっていては効果がない

データで見る防犯カメラのよくある質問

Q. 防犯カメラを付ければ犯罪はゼロになりますか?

A. ゼロにはなりません。防犯カメラは「抑止」と「発生後の解決」に役立つ有効な手段ですが、万能ではありません。施錠や地域の見守りなど、ほかの対策と組み合わせることで効果が高まります。

Q. 犯罪が減ったのは防犯カメラのおかげですか?

A. 防犯カメラだけの効果とは言えません。犯罪件数は社会環境や警察活動など多くの要因で変動します。ただし、場所を絞った個別研究では、適切に設置されたカメラの抑止効果が確認されています。

Q. どんな場所で特に効果がありますか?

A. 窃盗(自転車盗・車上ねらい)や駐車場での犯罪に対して、比較的高い抑止効果が期待できるとされています。被害が起こりやすい場所に的確に設置することが重要です。

Q. 最近は犯罪が増えていると聞きますが本当ですか?

A. 警察庁の統計では、刑法犯認知件数は2021年を底に2022年から3年連続で増加しています(2024年 約74万件)。犯罪が減り続けた局面から、再増加へと変わっています。

まとめ

データから見えるのは、防犯カメラが「犯罪の抑止」と「発生後の解決」の両面で役立つ有効な手段だということです。ただし犯罪をゼロにする魔法ではなく、被害が起きやすい場所に的確に設置し、掲示・画質・保守まで含めて正しく運用してこそ効果を発揮します。

刑法犯認知件数が再び増加に転じたいま、家庭・地域・店舗で防犯を見直す意義は高まっています。効果を最大限に引き出すには、設置場所の選定から保守までを含めた計画的な導入が大切です。

この記事は防犯・防災の情報メディア「みまもるまち」がお届けしています。

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